骨折や脱臼があるために不安定性が高度で2次的脊髄損傷が危惧されるときは牽 引や外固定や外科的内固定の治療が必要。頚椎に関しては外固定にハローベストという外装具がよく使われる。
注意する合併症 直後
①神経症状の悪化の有無
②呼吸障害の有無
硬いベストを上半身に装着するため、頚髄損傷では呼吸関係の合併症がおきやすく
③嚥下障害の有無
上位頸椎過伸展位による下顎挙上位が,嚥下障害に起因
④ピン刺入部の神経損傷の有無
前方は眼窩上神経、後方は大後頭神経を損傷するケースがある 眼窩上神経痛と後頭神経痛は代表的な頭皮神経痛である
眼窩上神経(supraorbital nerve; SON)と大後頭神経(greater occipital nerve; GON)を主とする後頭神経群は、頭皮の大部分を支配する感覚神経である.
注意する合併症 経過
①ピン刺入部の感染
②ネジのゆるみ
基本的にネジは緩みます。
よってほぼ毎日緩みをチェックしています。
③ピンを締め直しているうちに頭蓋骨を貫通
締めているのにいつまでも締まっていく感覚がある時です。このときは頭蓋骨を貫通 しているかあるいは前頭洞に突き抜けています。ex)頭蓋内穿通により脳挫傷とそれに 伴う症候性てんかん
慢性腎不全による血液透析歴のある症例では骨粗鬆症も合併しているためリスクはある。
ハローベスト装着後の頭蓋内評価については,必須とはされておらず,管理のためのガイドラインも存在しない
④ベストの褥瘡
その他の注意点
①目をぎゅっとつぶった状態でリングを取り付けること
眼窩上にピンが刺入されるときに眼瞼を引き込んでしまう場合があり、閉眼が困難となるケースがある。
②なるべく支柱の位置を視野に入らないようにする
支柱が常に視野の中にあると患者さんは非常にストレスフル
③あおむけで寝たときに後頭部が浮くようにする
これはベストのせいで動けないので後頭部が褥瘡になってしまう
自然の骨癒合(3ヶ月以内)が期待できる例では歩行しながらの長期装着で治癒を目指すことも有りますが、多くは手術での内固定の準備として短期間の装着です。胸椎、腰椎ではコルセットやギプスが用いられますが、通常骨癒合には3,4ヶ月を要します。脱臼例や不安定例では原則、 整復と内固定をおこないますが、そうでない例でも疼痛緩和や早めの社会復帰、荷重をしてのリハビリテーションのためには内固定術をおすすめする場合もあります
参考