先天性食道閉鎖症の予習
食道閉鎖症とは
食道が途中で切れている状態。
胎児のとき気管と食道が分離する際に異常が発生し食道が切れていて気管食道瘻(TEF)が形成されてしまっている。
A型〜E型の5つの種類がある。C型が最も多い。
食道閉鎖症の問題点は
経口摂取を行い肺炎を予防するため手術が必要になる。
心奇形を合併している場合がある。
代替可能な治療
代替可能な治療はなし。
胃瘻造設で経腸栄養を行うことは可能だがTEFは自然に閉鎖しないので手術が必要。
手術
一期的に行う場合と二期的に行う場合がある。
一期的(C型)
気管支鏡でTEFの位置を確認。
左側臥位で右上腕を挙上し腋窩を切開し後縦隔にアプローチ。
右上腕は胸壁をなす角度と130°以内にし腕神経叢麻痺を予防。
上下食道の同定。
上部食道はネラトンカテーテルを口から挿入して同定(麻酔科医)
TEFを確認し切開し閉鎖。
TEFにテーピングし少しずす切りながら気管側を結紮
上部食道と下部食道を吻合。
上部食道に支持糸をかけて分後うできるように気管と剥離する。
端を同定しメスで切開し吻合。
前壁吻合後transanastomotic tube(5Fr ED tube)を吻合部をと通過して留置。
吻合部付近にドレーンを留置。
二期的
体重が2㌔未満、上部食道と下部食道の距離が長い(long gap)の場合は胃瘻を造設し体重増加後に吻合する。
TEFがある場合は切除する。
麻酔
麻酔上の問題点は,気管食道瘻(TEF)があることによる肺の換気不良および胃へのガス流入が最も重要
TEFにより胃内にガスは流入してしまうため全身麻酔導入は筋弛緩は使用して陽圧換気を行わない。
気管支鏡でTEFの長さを確認する。
気管チューブの位置異常により換気不良から低酸素に陥る可能性がある。
術野の確保は陽圧気胸で十分で片肺換気、分離肺換気は勧められない。
TEFの結紮まで換気を保ち胃へのガス流入を防ぐために低い気道内圧での換気を行う。
TEF結紮後、筋弛緩剤を使用しA/Cで換気する。
術後
吻合部縫合不全
食道は細く腸管と比べて血流は少ない。
吻合部の安静を保つため原則3日は人工呼吸器管理(鎮静、筋弛緩)で管理する。
transanastomotic tubeは呼吸器管理終了じ抜去。
吻合部付近にドレーンは縫合不全ないこと確認して場抜去。
吻合部狭窄
下部食道は細い。
瘢痕化や胃食道逆流症による炎症で狭窄を生じる。
バルーン拡張を行う場合がある。
胃食道逆流症
H2ブロッカーや上体挙上で予防。
体重増加とともに改善するが噴門形成が必要になることも。
TEFの再開通
肺合併症
気管支炎を繰り返しやすい。気管軟化症、無呼吸発作を起こす場合もある。
確認
一期的か二期的か
胸腔鏡下か・CO2送気装置
体位固定・右上腕・固定具
DLTはなし、気管支鏡使用・挿管チューブ
TEF・吻合はなにで
胸腔ドレーンは必要か・その他のドレーンサイズ
ネラトンカテーテルのサイズ・transanastomotic tubeは5Fr ED tubeか
参考
メジカルビュー社|小児科・新生児|スタンダード小児外科手術