From おぺかん

手術室看護師が手術に関係あったりなかったする勉強や日々の備忘録を発信

脳血管

 

ウィリス動脈輪

弓部大動脈からウィリス動脈輪

 

血管の略語

内頸動脈         ICA          外頸動脈       ECA   

椎骨動脈         VA           脳底動脈        BA

中大脳動脈    MCA       前大脳動脈    ACA

前交通動脈    A-com   後交通動脈    P-com

 

内頚動脈 CIA

外頸動脈は主に顔面を栄養する血管で、内頸動脈は脳を栄養する血管です。

C2は後交通動脈から眼動脈まで

 

前大脳動脈ACA 中大脳動脈MCA

言語野は9割の人が左脳にあり、栄養血管が主に中大脳動脈となっています。ですので左中大脳動脈が血栓で閉塞すると発語ができなくなります。

ガイドラインより、血栓による血管閉塞に対する血栓回収の良い適応としてはM1領域に血栓がある場合です。

前大脳動脈は前頭葉頭頂葉を栄養しています。前頭葉頭頂葉は主に運動や感覚を司っており、出血や梗塞が起きると生活に大きな支障を起こします。

 

MRI

脳の特定の領域が損傷すると…

脳の各領域は、それぞれ特定の機能を制御しています。そのため、損傷を受けた脳の部位によって、失われる機能が異なります。

中大脳動脈の梗塞

最も多く脳梗塞の60%~70%がこの場所で発生しています。

優位半球(左)の症状

失語

物体失認(見ただけでは物の理解ができない)

ゲルストマン症候群

 (失書・失算・左右識別障害・手指失認などの症状が出る脳機能障害です。4つの症状すべてが出る人は少なく、大体の人は部分的な発症となります。)

 

劣位半球(右)

半側空間無視

着衣失行

半側空間失認

 

失語

脳の左前頭葉には言語に関するブローカ野とウェルニッケ野があり、その障害部位により症状が異なります。

典型的な症状だけを示す患者さんは少なく、混合型失語症を呈することがほとんどです。

運動性失語症(ブローカー)

 「はい」「いいえ」で意思表示ができる会話文も取り入れる。

感覚性失語症(ウェルニッケ)

 一つの文で伝えるのは一つの内容だけにし、平易な言葉を選択する

 

 

参考

cekyoblo.com

igakukotohajime.com

kango-oshigoto.jp

neurotech.jp

骨盤位・早産 / ミオコール

区域麻酔による帝王切開では、筋弛緩作用はないため早産、骨盤位では子宮を弛緩させ円滑な娩出を行う。

 

※早産:22週〜36週

  過期産:42週〜

 

ミオコール

5mg / 10ml / A

ニトログリセリン

効果発現まで60−90秒程度で120秒までにはピークになる

筋弛緩が期待できる0.1mg程度では問題となる母体低血圧は生じない。

 

例)

・500ml細胞外液を投与

・希釈したニトログリセリンを投与 

   希釈パターン1:50 μg / mlに希釈(total 100mlに希釈) 

   希釈パターン2:10 μg / mlに希釈(total 500mlに希釈)

総投与量50−1000μgを投与

 

他の筋弛緩薬は不向き

吸入麻酔・・・急速投与できない。

マグネゾール・・・ゆっくり投与する必要あり

緊急時には不向き!

 

※マグネゾールは子癇発生予防や子癇発生時に用いる。

参考

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051281.pdf

https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/470007_1244400A1030_2_00G.pdf

 

ABI / D-dimer

ABI

 ABI:Ankle Brachial Index 

     =足首/上肢血圧比

右上肢最高血圧:100mHg

右下肢肢最高血圧:95mHg

右ABI 95/100 = 0.95

 

左上肢最高血圧:97mHg

左下肢肢最高血圧:96mHg

左ABI 96/100 = 0.96

 

通常足の血圧は腕の血圧より少し低い。

→動脈が細くなっている為。

 

正常ABI

 =1.00-1.29

低い・・・血管の内径が細く血流がない。

     痛みや間欠跛行がなくとも足血圧80mmHg以下は注意

高い・・・血管壁が硬い。

 

ABIを測定することで血管性or神経性の間欠跛行の判断ができる。


注意

ABI 0.8以下は一般的にIPCは禁忌。

 

D-dimer

フィブリノゲンが溶解されると・・・FDP

フィブリノゲンが溶解されると・・・D-dimer

→分解代謝産物なので先行する血栓の存在をしさする。

 

正常値

 ・・・1.0μg/ml ( =1000ng/ml) 未満

 

 

D-dimer陽性

500ng/ml以上

陽性と判断。

感度は高く特異度は低いので確定診断ではなく除外診断に用いる。

 

常に体内では凝固と線溶が連続している為 D-dimer が0になることはない。

上腕骨遠位骨端線離開

 

骨端線離開

繰り返し投球動作を行うことで上腕骨近位の骨端線に負担がかかり離れてしまう状態。

骨端線は骨よりも脆弱な組織でできている為骨端線離開は軟骨組織の骨折のようなもの。

弱い軟骨でできている骨端線が少しずつ傷つき、だんだんと弱くなって炎症を起こし、痛みが持続してしまいます。上腕骨の成長障害につながる場合があります。

 

診断

レントゲン撮影で骨端線のズレを確認する。

 

参考

otsuka-seikei.com

 

小児の上腕骨遠位骨折

成長期における上腕骨遠位端骨折は非常に頻度が高い骨折です。その理由は構造的な脆弱性にあります。

腕骨の遠位端は顆(か)と呼ばれ、側面から見ると前方へ弯曲する頂点となり、外力を受けると屈曲力や剪力が働きやすい形状をしています。

 

上腕骨遠位骨端線離開は

  1. 内側上顆骨折
  2. 通顆骨折

の損傷形態になる。

 

骨端核と骨本体との間は、成長が完了するまで骨端線と呼ばれる骨端軟骨が介在します。その骨端軟骨部分の強度が周囲よりも弱いため、外力を受けるとその部分が損傷しやすいのです。この骨端線部分の損傷を骨端線離開といいます。即ち骨端線離開とは骨端軟骨に生じた骨折です。

 

治療

転位の無い骨折では、包帯副子固定。固定期間は約3週程度。

転位の有る骨折では、整復処置。

また、手術により金属を使った内固定を施行している場合は、骨癒合が完成されてから、内固定を除去。

 

合併症

内反肘

整復が不十分で捻転転位や側方転位が残った場合に起こりやすい変形です。

内反肘変形は小児上腕骨頼上骨折後に発生することが多く機能上および整容上の問題点 有するばかりでなく肘安定性も問題となるらには遅発性尺骨神経麻療の発症も近年報告されている 。すでに発生した内反肘変形には保存的治療や自然矯正を期待できないので、矯正骨切り術が必要となる。

骨切り手術

http://www.jpoa.org/mag/vol16-2/265-268.pdf

 

 

屈曲障害

整復時の転位除去の確認と固定期間中の骨折部の観察が重要

 

参考

www.judo-akimoto.com

ハローベスト

骨折や脱臼があるために不安定性が高度で2次的脊髄損傷が危惧されるときは牽 引や外固定や外科的内固定の治療が必要。頚椎に関しては外固定にハローベストという外装具がよく使われる。

 

 

注意する合併症 直後

神経症状の悪化の有無

 

②呼吸障害の有無

硬いベストを上半身に装着するため、頚髄損傷では呼吸関係の合併症がおきやすく

 

③嚥下障害の有無

上位頸椎過伸展位による下顎挙上位が,嚥下障害に起因

 

④ピン刺入部の神経損傷の有無

前方は眼窩上神経、後方は大後頭神経を損傷するケースがある 眼窩上神経痛と後頭神経痛は代表的な頭皮神経痛である

眼窩上神経(supraorbital nerve; SON)と大後頭神経(greater occipital nerve; GON)を主とする後頭神経群は、頭皮の大部分を支配する感覚神経である.

 

注意する合併症 経過

①ピン刺入部の感染

 

②ネジのゆるみ

 基本的にネジは緩みます。

 よってほぼ毎日緩みをチェックしています。

 

③ピンを締め直しているうちに頭蓋骨を貫通

締めているのにいつまでも締まっていく感覚がある時です。このときは頭蓋骨を貫通      しているかあるいは前頭洞に突き抜けています。ex)頭蓋内穿通により脳挫傷とそれに 伴う症候性てんかん

慢性腎不全による血液透析歴のある症例では骨粗鬆症も合併しているためリスクはある。

ハローベスト装着後の頭蓋内評価については,必須とはされておらず,管理のためのガイドラインも存在しない

 

④ベストの褥瘡

 

その他の注意点

①目をぎゅっとつぶった状態でリングを取り付けること

眼窩上にピンが刺入されるときに眼瞼を引き込んでしまう場合があり、閉眼が困難となるケースがある。

 

②なるべく支柱の位置を視野に入らないようにする

支柱が常に視野の中にあると患者さんは非常にストレスフル

 

③あおむけで寝たときに後頭部が浮くようにする

これはベストのせいで動けないので後頭部が褥瘡になってしまう



自然の骨癒合(3ヶ月以内)が期待できる例では歩行しながらの長期装着で治癒を目指すことも有りますが、多くは手術での内固定の準備として短期間の装着です。胸椎、腰椎ではコルセットやギプスが用いられますが、通常骨癒合には3,4ヶ月を要します。脱臼例や不安定例では原則、 整復と内固定をおこないますが、そうでない例でも疼痛緩和や早めの社会復帰、荷重をしてのリハビリテーションのためには内固定術をおすすめする場合もあります

 

参考

tozen-sekitsui.com

環軸椎骨折

 

環椎骨折

ジェファ ーソン骨折(環椎破裂骨折)

環椎の前弓と後弓の抵抗の弱い4箇所で折れ外側塊が外方に転位。

脊柱管は拡 大するので脊髄損傷は少ない。

治療はハローベストによる外固定が一般的。第二頚椎(軸椎)の外側塊との後方固定をおこない早期社会復帰を図る場合もあり。

開口位前後X線撮影により環椎外側塊の外方移動が確認されると骨折を疑う

 





 

 

後弓骨折

後弓の骨折は、頚部が過伸展強制されることにより生じる

歯突起骨折軸椎椎弓骨折を合併することがある

 

外側塊骨折

頚椎への軸圧と側屈の外力が同時に作用して生じる

 

軸椎骨折

歯突起骨折

Ⅰ型 歯突起の先端が骨折するタイプ(きわめて稀)

Ⅱ型 歯突起の根元が骨折するタイプ(最も多い)

Ⅲ型 Ⅱ型よりも根元(椎体部)まで骨折するタイプ

うまく癒合しない場合は歯突起固定術が不可欠になります。

歯突起固定術が必要なケースはⅡ型が多くあります。

 

軸椎関節突起間骨折(ハグマン骨折)

関節突起間骨折というのは椎体の両側にある椎弓根が骨折する状態の事

見落とされた歯突起骨折が偽関節になって、
日常生活に戻ると危険があります。

偽関節は軟部組織によってくっついている状態の為、
年を取ると退行変性を起こし不安定になります。
そうすることで【痙性歩行障害】【手指巧緻運動障害】【排尿障害】脊髄圧迫による障害が起きたりする。

 

脊髄損傷

精査しても骨折の所見が乏しいのに重症の頚髄麻痺が見られる 「非骨傷性頚髄損傷」が増加傾向。「非骨傷性頚髄損傷」は頚椎の過剰な後屈で 発症することが多く、頚髄の中心部分が外側より強く損傷。このような損傷パ ターンは「中心性頚髄損傷」と呼ばれ、頚髄の中心には上半身に行く神経が集まっており、逆に外側には下半身に行く神経が集まっているので「中心性頚髄損傷」では、はじ め「四肢麻痺」でも下半身の機能回復が見込まれ、後日歩行が可能になることも多い一方 で、上半身とくに手のシビレや麻痺、物にも触れることができないような激しい痛みなど が後遺症として慢性的に続くことも少なくない。

脊椎脊髄損傷の治療の基本は2次的脊髄損傷を防ぐこと

ステロイドが神経の損傷程度を和らげるという意見もありますが、致命的合併症を惹起しやすくなる などの欠点も。脊髄が損傷し手足が麻痺 している状態でずっと寝ていると廃用性の障害が加味したり、起立性低血圧が 遷延したりして後遺障害が重くなる。脊髄を損傷している場合はむしろ早期 の離床が重要。リハビリテーションを始めるにあたって、損傷脊椎が不安定で脊髄障害を悪化させることが懸念されるときは、必要な整復を行い外固定処置または固定術を先行させることが必要。

 

参考

https://shishi-bone-fit.jp/chiro_clinic6/20210907180824/

 

kojimachi-shiraishi.com

www.nakanobuseitai.com

NSAIDsと喘息

喘息患者にNSAIDsは使ってよいか?

結論から言うと、「アスピリン喘息」でなければ、使うことはできる。

が注意点がある。

 

 

NSAIDsとは

  • 抗鎮痛作用
  • 解熱作用
  • 抗炎症作用

シクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを阻害し、痛みや熱の原因物質プロスタグランジン(PG)が生成されないようにする。

アスピリン喘息

喘息の人の一部にNSAIDsを使用すると喘息の発作を起こすことがある。

このような喘息の型をアスピリン喘息という。

名称のアスピリン以外の多様なNSAIDsでも発作は生じる。

 

アスピリン喘息の方ではプロスタグランジンを作らせない代わりに、ロイコトリエンをたくさん作り始めてしまう。
ロイコトリエンは、気管支を収縮させたり、アナフィラキシーを誘発させたりする、アレルギー物質。

このような特徴を持つアスピリン喘息は、喘息全体の方のうちの約10%といわれている。

 

アスピリン喘息は高確率で、鼻茸、副鼻腔炎の合併があり、鼻症状(特に嗅覚低下)が喘息発症の数年前に先行することが多い。

 

注意点

アスピリン喘息」と「アスピリン喘息でない喘息」が必要

アスピリン喘息の可能性を念頭に置き、NSAIDs使用の可否を慎重に見極める必要がある。

具体的には、喘息発症後のNSAIDsの使用歴と副反応の有無を参考にする。喘息発症後もNSAIDsを問題なく使用できていれば、アスピリン喘息の可能性はほぼ否定できる。

 

とあるHPでは、、、

普通の喘息の方がアスピリン喘息に移行することは通常ない。(通常の喘息に後からアスピリン喘息が加わることが全くないとは言い切れないが、基本的にはまれ)
喘息の診断の後に特に症状が大きく変わっておらず、かつ診断後に解熱鎮痛薬を使用して問題が起きていなければ、通常はアスピリン喘息ではないと考えて大丈夫。

 

「その喘息は、アスピリン喘息でない喘息だ」

と簡単には言えないという問題点があり病院によっては

喘息の既往有り=NSAIDs禁忌 

としていたりあるようだ。

 

アスピリン喘息が疑われる場合は

COXの阻害が少ないNSAIDsやアセトアミノフェンの使用で管理を行う。

 

参考

www.katoiin.info

medical.nikkeibp.co.jp

 

kango-oshigoto.

 

おまけ

NSAIDsを調べていると術後疼痛にたどりついたのでいつかの日の為にメモ。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/52/2/52_109/_pdf/-char/ja